ちょっとほろ苦い

DTMやったり酒飲んだり

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3.手をつないで

3曲目のイメージテキストです。

イメージテキストってなんだよって今思いました。
いつかはちゃんとした物語を書いてみたいですね。

メリーと蓮子の赤面するような関係を書きたいと思ったら自分が赤面していた。何を言って(ry


メリーは笑っている。何がそんなに可笑しいのか、と蓮子は思う。
冷めかけのコーヒーを口に含む。ほんのりとした苦味。
こんなとき、下手なことは言わない方がいい。メリーがひとしきり笑い終えるのを待つ。
反応すればそれでまたメリーが喜ぶ。なんとなく、癪な気持ちで窓の外を見やった。

ディスプレイに映されたヒロシゲの景色とは違う、日本の原風景。
曖昧になった四季をそれでも大事にしているから、この国は今でも色あせないのだと思う。
瞬きひとつで視界から消えてゆく田んぼの黄色。刈り入れも終わったあとで、あぜ道には人の影もない。
規則的に果てしなく続く区画。重そうな雲がかかるその向こうに山々。関東平野の終端。

「昔の人には、山の向こう側があるなんて実感できなかった」
いつの間にか真顔に戻ったメリーが言う。考えていたことを見透かされたのかと思う。
こんな風にピンポイントで波長が合うのはよくあることだ。たぶん、お互いに。

「坂ですら、幽明の境だと考えた人もいたくらいにね」
メリーはそんなこと意に介す様子もなく、続ける。
「下から見上げたら、そうも思うものなのかな」
「下?」
「てっぺんから見下ろしたら全部見えちゃうしね」
二人とも視線は窓のほう。
でも、隣に座るメリーの視界には私が入る。窓際の肘掛にもたれる私の視界にメリーはいない。
ガラスに映る自分の眼。微かな列車の振動と、メリーの気配。声。

「そうね」
「ずっと道を目で追うでしょ」
 メリーが話しながら天井を見上げる。
「すっと、道が消えて空になる。そんな場所には、確かに境界が視えることが多いかも」

    ※    ※    ※

「それまでの連続性が唐突に否定されると、そこにあるもの以上の違和感を感じるってこと……かな?」
自分のほうに向き直る蓮子と、目線が合う。彼女は自分の意見を言うとき、必要以上に相手の目を見ようとする。その好奇心に溢れる子供のようなまっすぐな瞳。

「理系らしいなぁ」
ひとまずはぐらかすのはいつものこと。ワンステップ置かないと耐えられないよ、蓮子。

「どっちかというと心理学、じゃないのかな」
蓮子が少し不満そうな顔をする。
「そうかもね」
もう一呼吸。

「昔の人は目に見える範囲でしか物事を捉えられなかった」
「人の身体に変わりはないのに、ずいぶんと狭いところで生きるしかなかったのよね」

坂の向こうも、山の向こうも、明かりの届かない闇の先も、等しく異界。
昼であれば何のことはない庭先の雑木林でさえ、夜の帳のなかでは魑魅魍魎を跋扈させるに十分な空間だったのだろう。
交通手段も少なく、一生を生まれた土地で過ごすことが当たり前だった時代。
普段見慣れた山はその世界の果てであってもおかしくはない。
そこを越えてやってくる人間を、「外の人」と呼ぶ程度には。

「この先、宇宙人とは仲良くやっていけるのかな」

「また飛んだね」
蓮子が笑う。
「未来の人間が私たちを見たら、やっぱり不思議な気がするのかな」
「んー、どこまで未来に行っても宇宙人と会えそうな気はしないけど」
蓮子の頭のなかは数字で一杯なんだろう。

    ※    ※    ※

「境界なんてどこにでもあるから」
メリーの口癖。蓮子は少し考えこむ。その言葉の本当のところを実感はできなくとも、想像することはできる。
でも、実感できないことはリアルじゃない。

世界の境目は様々なありようを示す。
蓮子が計算ではじき出す世界の果てが、そのうち境界になるのかもしれない。
その向こう側まで世界は広がっているはずなんだけど。

同じ空間で、同じ方向に進む。音もなく景色は移り変わる。ひざの上に載せた本はずっと同じページのまま。
脈絡なく口を開くうちに、電車は目的地に着いてしまう。

テーマ:東方プロジェクト - ジャンル:ゲーム

  1. 2010/11/25(木) 23:12:36|
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